会社の作業服をプリント業者に持ち込みすると断られやすい!なぜ?

自分の職場や工房で作業服を新たに作ることになった時、費用を抑えるために作業服自体は持ち込みで、胸ポケットに社名やロゴなどをプリントしたいと思っている代表の方や現場監督も多いかもしれません。しかし「持ち込みのものは承ってない」「名前の刺繍なら大丈夫だがイラストはお断りします」などと返された経験はないでしょうか。

それには様々な理由があるのです。ここでは代表的な例を以下にまとめました。

作業服の生地の問題

作業服の持ち込みを断られる例として、作業服の記事の問題がまず挙げられます。作業服も職種によって様々ですが、大抵は綿とナイロンといった化繊で仕立てられています。一般的な作業服でよく見受けられるのが「撥水加工」です。

洗濯表示やラベルにも記載があるのですが、水分を弾く加工を施されているとインクの材質によってはプリントがすぐに剥離してしまう危険があるので、その場合はプリント加工を断られてしまいます。刺繍の場合も、名前や文字だけなら容易いのですがカラーロゴもやって欲しいといったパターンは生地の厚みや素材により受け付けられない事があります。

また、職種によっては裏地にプリントをお願いしたい場合もあるかと思います。裏地は表地と違う素材を使われていることも多々ありますから、持込み生地を承る業者も注意を払っているでしょう。プリント業者からしたらどのような生地を持ち込まれるか事前にわからないので、そういったリスクを回避するため始めから持ち込みを承りたがりません。

作業服に「キャップ」など帽子も含まれる場合だってありますから、パターンが多すぎて嫌がられるわけです。以前私が勤めていた会社は持込み生地を承る業者でしたが、作業服と一緒に革製のエプロンや服ではない「椅子」なども持ち込まれた事があります。

合成皮革や本革の製品にはプリントしない業者だったので、流石にお断りさせていただきました。

作業服の形状の問題

他にも、形状の問題もあります。職種にもよりますが、予想外のポケット位置やボタンの位置が見つかった場合、依頼されたプリントのデザインによって確実に生地にプリントが出せない危険があるためです。一般に流通されている作業服なら問題ない業者もあるようですが、素材が高級なものを使用されている場合形状もよくある一般的なものではない可能性はあります。

持ち込みを承るプリント業者は持ち込まれた衣類の写真を撮り、工房で作業する前にそもそもプリント出来る形状なのかを厳しくチェックします。この作業が人手も時間も消費するため、一部の業者は外部からの持ち込み生地を全てお断りするのです。

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プリントデザインの複雑さ

社のロゴというのは大抵カラーで描かれていると思います。シンプルなものなら良いですが、中には複雑かつ繊細なデザインもあります。4色フルカラーでグラデーションもかかっているものとなると刺繍は再現不可能ですし、量産が見込めるスクリーン印刷もフルカラーとなると製版の手間もコストもかかりますしお断りされるでしょう。

唯一出来るとしたらインクジェット印刷によるフルカラープリントですが、プリント機材に持ち込み生地が適切なサイズであるかで対応が変わってきます。そしてインクジェットは量産に向かないプリント方法ですので、客側と業者で折り合いがつかなくなる恐れがあるのです。

例え持ち込み生地にプリント出来たとしても、ひとつを許してしまうと全て許さざるを得なくなる、そういったことのないように始めから持ち込み生地を承らない業者があるわけです。

コスト、費用の問題

コストや費用も重要な問題です。プリント業者というのはどこで稼いでいるのか?という点を考えてみましょう。それはプリント費、別途かかる製版費や必要あればデザイン作成費、そして生地の購入費です。生地を客側に持ち込まれてしまうと生地の購入費をパスされてしまう。

そして生地の購入費はプリント業者にとって一番利益率の高い商品なのです。それを逃したくはないわけですね。プリント業者は国内ですとCABやTom'sなどといった生地問屋から仕入れます。その卸価格は定価の約30%と言われています。

生地購入費は定価のおおよそ70%〜80%ですので、4〜5割の利益を引っこ抜かれさらにリテイク不可能のリスクまで背負い込むのは勘弁して欲しいと思うから、持ち込みを断る場合も多いのです。

ミスプリントのリスク

プリントは人の手作業だろうが機械による自動作業だろうが必ずミスが出るものです。スクリーン印刷の場合は職人の不注意によるインク漏れやインクの出すぎ、インクジェット印刷の場合もオペレーターの操作ミスや生地との相性のチェックミス、デザインの繊細さによるプリント漏れ、などです。

ミスが出た際には別途新しい生地をプリント業者が用意しますが、持ち込み生地の場合はそうはいきませんね。予備が用意できるものなら良いのですが、客側にとって必ずしも用意できるとも限りません。そして業者もミスが出た場合の弁償ができません。

リテイクできないのはプリント業者にとってもハイリスクで、あまりやりたくないのが現実なのです。

量産性、リピート性の不足

持ち込み依頼というのは大抵必要な分を必要なだけ持ち込んでプリントしてもらってハイ終わり、という流れになります。プリント業者が客側から一番欲しいものはリピート、つまり何度もの依頼です。作業服と言うくらいですから大抵は職場で着るものですし、客側はなるべくコストを抑えたいもの。

持ち込みならせいぜい洗い替えを用意したとしても10〜30枚程度になるのではないでしょうか。持ち込みで100や、まして1000枚以上の注文はなかなか聞いた事がありません。

ないと言うわけではないですが、それだけ多ければ生地も一般流通品でしょうし、プリント業者から購入した方が安く上がる可能性が高いですね。それに枚数が多くなればなるだけプリント業者のリスクも大きくなります。少し特殊な形状や生地の作業服となるとそこまで枚数も期待できず、またリスクも高いのにリピートも来ないとなると、業者もため息しか出なくなるのが目に見えているわけです。

納期の問題

持ち込み生地によるプリント依頼の場合、納期を確約できない問題があります。前述した通り、どのような生地をどの様にプリントされるかで手間や変わってくるため、業者のマニュアル対応で完全に対応しきれない事があるからです。

生地の堅牢性や指定されたデザインがプリントして出せるのかどうか調べている間に、納期スケジュールに狂いが生じる危険性があるからですね。納期のスケジュールというのは業者の生地の発注から工房への生産過程、納品までを予定して決めているので、もし業者が取り扱ったことのない生地を持込みされた場合、そこにリスクが生じるためです。

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